平成31年4月1日から年次有給休暇の時季指定義務が施行されます。
年10日以上の年次有給休暇が与えられる労働者に対して、年5日、使用者が時季を指定して、有給休暇を取得させなければなりません。
対象となる労働者は、年10日以上の有給休暇が与えられた労働者です。
年次有給休暇を与えた日から1年以内に、5日間、時季を指定して有給休暇を与えなければなりません。
これに反した場合、罰則が適用されます(労働基準法120条によって30万円以下の罰金が科せられます。)。
そもそも年次有給休暇は、労働者の心身のリフレッシュを図るものですから、原則として、労働者が請求する時季に、与えなければなりません。
ところが、労働者が必ずしも年次有給休暇を取得しない我が国の現状を踏まえて、このたびの改正で、使用者に、年次有給休暇を取得させることが義務づけられたのです。
重要なことは、次の4点です。
一点目。
時季の指定に先立って、労働者から希望を聞かなければなりません。
使用者は、労働者に、あらかじめ取得時季の希望を聞き、労働者の希望を尊重した上で、年次有給休暇の取得時季を定めなければなりません。
二点目。
労働者ごとに、年次有給休暇管理簿を作らなければなりません。
使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇の時季、日数及び基準日を明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作らなければなりません。
年次有給休暇管理簿は、年次有給休暇を与えた期間と、その期間が満了した後3年間、保存しなければなりません。
労働者名簿や賃金台帳とあわせて作っておくと良いでしょう。
三点目。
就業規則の改正が必要です。
就業規則には、休暇に関することを必ず記載しなければなりません(労働基準法89条)。
このため、使用者による時季指定を行う場合、時季指定の対象となる労働者の範囲や、時季指定の方法等を、就業規則に記載しなければならないのです。
なお、これに反した場合、罰則が適用されますので注意が必要です(労働基準法120条で30万円以下の罰金が科せられます。)。
四点目。
すでに5日以上の有給休暇を取得している労働者については、使用者が時季を指定する必要はありません。
また、時季を指定することもできません。
労働者が自ら取得した年次有給休暇の日数や、労使協定で計画的に取得日を定めた年次有給休暇(計画年休)の日数は、時季指定義務が課せられる年5日から差し引かなければなりません。
たとえば、すでに労働者が、有給休暇を与えられた日から1年以内に、合計6日の有給休暇を取得している場合には、使用者に時季指定義務はありません。
また、たとえば、合計3日の有給休暇を取得している場合には、使用者が時季指定しなければならないのは、2日分になります。この場合、2日分を超えて時季指定することはできません。