弁護士 今田慶太blog

弁護士法人 菜の花

傘を渡せば良かった(労働法のスペシャリストへの道)

毎年年末、ロースクール時代に大変お世話になった恩志を囲む会に参加している。

ロースクールは関西学院大学(兵庫県西宮市)、先生は大阪弁護士会所属の弁護士とあって、囲む会は毎年大阪で行われる。

先生を慕う私の同級生・先輩・後輩が年に一度集まり、近況を報告し合って懇親を深めることは大変意義深く、非常に楽しみにしている。

私が弁護士になって以来、毎年欠かさず参加の皆勤賞だ。

「わざわざ鳥取から大阪まで」と、感心して下さる方もいるが、それだけ先生の魅力に引きつけられているのだと思うし、今の私は、先生と出会っていなければ決して存在していない。

 

昨年の年末、大阪は小雨が降る天気であった。

傘がなくても濡れない程度の雨だ。

2次会が終わり、皆が先生に挨拶をして解散した。

私はその日大阪に宿泊。

2次会会場からホテルまで道に不慣れで、少し迷いながらホテルに向かっていた。

ウロウロ迷いながら歩いていると、タクシーに乗ろうとしていた先生に偶然遭遇した。

「今田君、今日はありがとうね。ホテルまでの道は分かるかい。」

スマホのナビがあるので何とか大丈夫です!と伝え、タクシーに乗る先生を見送った。

私はその後、無事、ホテルへ到着。良かった、ほとんど濡れなくて。

翌日、先生から連絡が。

昨日、雨が降っていたのに、私に傘を渡さずタクシーに乗ってしまい、後悔したと。

私がホテルに無事着いただろうかと、雨に濡れて困っていなかっただろうかと。

そんな先生だからこそ、私は毎年必ず参加する。

 

豊川義明著『労働における事実と法 基本権と法解釈の転回』が昨年発売された。

昨年の囲む会で出版を知り、すぐさま購入した。

実務家と研究者以外、手に取らないであろう攻めたタイトル。

他の労働法関係の書籍とは一線を画す内容で、読んでいて久しぶりに心が躍った。

そして、学ぶことの楽しさ改めて感じ、学習意欲を刺激された。

実務について数年経ち、一応、色々な事件に触れてきたが、特別な専門領域を確立することに悩んでいた私は、「これだ」と思った。

労働法はどの弁護士でも扱う領域だが、その中でもスペシャリストになりたいと。

先生のように、優しさと深い教養に満ちあふれた圧倒的な専門家になりたいと。

 

手始めに、労働法関係の書籍を再度充実させ、『労働判例』(労判)という判例実務紙の購読を始めた。

日常業務をこなしつつ、自学の時間を確保し、少しずつ目標に向かって歩んでいる。

労判は、2週間に一度送られてくるので、まだ読み終えていないのに次号が届くと相当焦る。

学生時代に泣きべそをかきながら取り組んでいた通信教育(○会)を思い出す。

明日は出張。

移動中、労判の判例を何個読めるかな。

楽しみで仕方ない。