弁護士 山崎 優blog

弁護士法人 菜の花

先月、ここ鳥取の布勢で、陸上男子100メートルで日本新記録が誕生した。
布勢の陸上競技場では、風を調整するフェンスとシャッターの導入やトラックの改修工事などが行われてからというもの、次々と好記録が生み出されている。

100メートル競争の結果には、ゴールタイムのほかに風が表示される。
風といっても、選手の速さを風速で表したものではない。そのレース中に吹いていた風の風速である。

陸上競技の風には、追い風と向かい風と無風というものがある。横風とか斜め風という表示は無い。

同じレースを走る選手は、内側と外側とで多少の影響差はあるにしても、基本的には同じ条件で走ることになるため、勝ち負けに関係する風の影響は対等である。

風が大きく影響するのは記録との関係であり、特に、ある大会への参加切符を手に入れるために到達しなければならない記録(参加標準記録と言われるもの)が設定されている場合には、選手にとっては死活問題である。
追い風が吹くと、選手は後ろから押されるため、記録が伸びやすい。
逆に向かい風が吹くと、前から押し返されるため、記録が伸びにくい。記録を狙っているレースでは、やめてくれ!という感じである。
無風については、なんとも言えない。

かといって、追い風であれば良いというものでもない。
追い風が2.0メートルを超えると、いくら良い記録を出しても、参考記録となり、公認されないためである。
自然相手なので、まさに運である。
この運であったものを、ある程度コントロールしようとしたのが、最初で触れた風を調整するフェンスとシャッターである。このフェンスやシャッターのおかけで、ちょうど良い追い風という条件を生みやすくなった。

レース中の風速は、レースごとに風速計という精密機器によって計測される。
大会は陸上競技連盟などによって主催されるが、大会ごとに、各学校の生徒が補助員として大会運営の補助に当たる。
現在はどうなっているか分からないが、自分が高校生の頃は、計測の補助員というものがあった。
風速計によって計測された数値を、風力速報表示器(追い風を表す「+」、向かい風を表す「-」、風速を表す0から9までの数字を手で入れ換えるパネル)に表示して、別のところにいる風速表示の補助員に伝えるといった仕事である。

選手のフィニッシュ後に、日本記録、大会記録、標準記録に相当する記録がタイマーに表示されたときは、興奮と同時に風のことが頭を過る。
風を計測するのは機器なのだが、今回のレースの風速係のドキドキは計り知れない。
(記録を待ち望む人は皆そうだったかもしれない。)
風速計の表示で風が公認上限の「2.0」だと分かった瞬間、どこの誰よりも早く日本新記録の誕生を知り、興奮度は上限を超えたに違いない。(自分だったらそうなる。)