弁護士 今田慶太blog

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スポーツの秋

スポーツの秋

スポーツ総合誌「Sports Graphic Number」(文藝春秋)の表紙が藤井聡太棋士と聞き、早速書店に足を運んで手に取った。どの記事も非常に読み応えがあり、描き出される棋士の姿は真剣勝負を戦うアスリートそのもの。個人的には、棋士を支える呉服店の記事に心が躍り、”棋士の勝負服”の奥深さに感心した。暇を見つけて表紙をめくっている。

さて、先日(令和2年9月8日)の朝日新聞の朝刊に「将棋はスポーツ?」の見出しがあり、「ナンバー」の将棋特集が取り上げられていた。「そうそう」と独り言を言いながら紙面を開く。果たして、将棋はスポーツか?

スポーツ基本法(前文)では、「スポーツは、心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵(かん)養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動であり、今日、国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のもの」とされています。スポーツをこのように定義すると、野球やサッカー、ゴルフといった「トラディショナルスポーツ」のほかに、将棋や囲碁などの「マインドスポーツ」がこれに該当しないと評価することは難しく、実際、先の朝日新聞の記事によると、チェスの国際連盟が国際オリンピック委員会に競技団体として承認されているそうです(へー、知らなかった。)。また、囲碁や麻雀などでスポーツ領域進出の動きも加速しているとのことです。

翻って考えるに、近時市民権を得つつある「eスポーツ」も、そこでの動作はコントローラーの操作程度ですから、やはり、スポーツ=体を動かすという発想は、過去のものになりつつあるのかもしれません。

むしろ、マインドスポーツやeスポーツは、参加者の年齢や性別、障害の有無といった障壁を容易に乗り越える可能性を持っており、トラディショナルスポーツとは別の角度での役割の重要性が、今後高まっていくのではないでしょうか。

スポーツ基本法前文の冒頭は、「スポーツは、世界共通の人類の文化である。」と謳っています。

少し先の未来では、「文化部」と「運動部」といった区別がなくなっているかもしれません。

何事も、一流を目指せば自ずと自身の体と向き合うことになるのでしょう。

自分自身に言い聞かせる。