弁護士 今田慶太blog

弁護士法人 菜の花

働き方改革に関するあれこれ②【年休~時季~】

これから数回に分けて、働き方改革法により改正された年次有給休暇(年休)の付与制度について取り上げてみようと思います。

今回はお話を進める前提となる「時季」という用語について。

 

労働基準法は、「使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」と規定しています(労基法39条5項)。

このように、労働基準法は労働者の権利として年休を規定していますが、使用者は労働者からの請求(時季の指定)がない限り、年休を付与する義務を負いません。

年休は、本来、労働者が自ら権利行使する必要があるのです(この権利性の理解が重要です。)。

ところが、日本における年休取得率は低い傾向にあります。

そこで、働き方改革法では、労働者に一定日数の年次有給休暇を確実に取得させるため、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対し、使用者において毎年その5日分について時季を指定して年次有給休暇を付与することを義務付けました。

これを「時季指定義務」といいます。

 

この「時季」という用語に少し違和感を覚えるのは私だけでしょうか。

「時季」とは文字どおりseason、季節を加えた時期の意味で、立法過程においては欧州型の長期休暇を指向していたようです。

そのため、年休を取得しようと考える労働者は、必ずしも具体的な月日を指定しなくても良く、季節等のまとまった日数の休暇をあらかじめ申し出ることが可能です。

もっとも、特定の月日を指定することを排除するものではありません。

むしろ、実務における時季指定は、ほとんど特定の月日を指定する方式(○月×日に有休を取得するという指定方法)によっていると思います。

労働基準法は「継続し、又は分割した有給休暇を与えなければならない」と規定し(労基法39条1項)必ずしも一括付与をしなくてもよいことや、時間単位の年休付与も認められている(同条4項)ことから、日本においては季節というより具体的な月日を特定して指定することが一般的であると言えましょう。

 

さて、年休権の法的性質について確認しておきます。

年休権は、雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して法律上当然に発生する権利であり、労働者の請求(時季の指定)をまって生ずるものではありません。

労働者が時季指定をしたときは、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げることとなり、これを理由として使用者が時季変更権を行使しない限り、その指定によって年休が成立し、当該労働日における就労義務が消滅します。

このような年休ですが、なぜ、取得が進まないのでしょうか。

そして、働き方改革によって、年休取得をどのように位置づけるべきなのでしょうか。

次回はその辺りのトピックスを取り上げてみようと思います。